目次
概要
KI-TX70、KI-UX75。今回の比較は、シャープの加湿空気清浄機ラインの中で実力機として位置づけられる最新モデル「KI-UX70-W」を軸に、ひとつ前の世代である「KI-TX70」、上位容量モデルの「KI-UX75」との違いを整理することを目的としています。いずれもプラズマクラスターNEXTを搭載したハイグレードクラスで、空気清浄の適用床面積は~31畳(KI-UX70/KI-TX70)、~34畳(KI-UX75)クラスと、一般家庭のリビング〜LDKをしっかりカバーできるスペックです。
ただ、清浄と加湿の快適さはカタログ数値だけでは語り尽くせません。ニオイの抜け方、微細なホコリへの反応速度、加湿時の肌ざわりやのどのラクさ、そして運転音や気流の当たり方まで、体感での差が意外と大きく出ます。さらに、センサーの追従性やAIモニター表示の見やすさ、運転切り替えの賢さ、フィルターや加湿ユニットの手入れ頻度と負担、3.2Lタンクの扱いやすさなど、毎日触れる要素が満足度を左右します。
KI-UX70-Wは、省エネ化された静音モードと待機電力、樹脂部品の20%以上に再生プラスチック材を採用した環境配慮設計、そしてエアコン連携機能を備えた「バランス型」の一台という印象です。一方、KI-TX70は基本性能をほぼそのままに価格を抑えた型落ちモデル、KI-UX75は空気清浄~34畳・加湿プレハブ洋室~25畳の余裕を生かして、広めのLDKを力強くカバーする「大空間向け」です。
本記事では、就寝時の静かさと朝の空気の軽さ、料理やペット由来のニオイの抜け、花粉シーズンのホコリっぽさの軽減度など、具体的な生活シーンでの体感を言語化しながら、スペックの背景にある使い勝手を明確にしていきます。実際に自宅のリビングと寝室でKI-UX70-Wを運用してみた経験も交え、「どの部屋・どんな暮らし方ならどの機種がしっくり来るか」をイメージできるように整理しました。
比較表
| 機種名 | シャープ KI-UX70-W | シャープ KI-TX70 | シャープ KI-UX75 |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| タイプ | 加湿空気清浄機 | 加湿空気清浄機 | 加湿空気清浄機 |
| カラー | ホワイト系 | ホワイト系 | ホワイト系 |
| 適用床面積(空気清浄) | ~31畳 | ~31畳 | ~34畳 |
| 加湿適用床面積(プレハブ洋室) | ~21畳 | ~21畳 | ~25畳 |
| 加湿方式 | 気化方式 | 気化方式 | 気化方式 |
| 最大加湿量 | 最大750mL/h | 最大750mL/h | 最大900mL/h |
| 水タンク容量 | 約3.2L | 約3.2L | 約3.2L |
| プラズマクラスター適用床面積 | 約16畳 | 約16畳 | 約18畳 |
| プラズマクラスター | プラズマクラスターNEXT(50,000個/cm³以上) | プラズマクラスターNEXT(50,000個/cm³以上) | プラズマクラスターNEXT(50,000個/cm³以上) |
| フィルター構成 | 静電HEPAフィルター+ダブル脱臭フィルター | 静電HEPAフィルター+ダブル脱臭フィルター | 静電HEPAフィルター+ダブル脱臭フィルター |
| プレフィルター | 抗菌・防カビホコリブロックプレフィルター | 抗菌・防カビホコリブロックプレフィルター | 抗菌・防カビホコリブロックプレフィルター |
| センサー種類 | ホコリ/ニオイ/温度/湿度/照度 | ホコリ/ニオイ/温度/湿度/照度 | ホコリ/ニオイ/温度/湿度/照度 |
| 風量(空気清浄・最大) | 7.0m³/分 | 7.0m³/分 | 7.5m³/分 |
| 運転音(空気清浄・強) | 約51dB | 約51dB | 約52dB |
| 待機時消費電力 | 約0.8W(約1.0W) | 約0.9W(約1.2W) | 約1.0W(約1.4W) |
| 外形寸法 | 幅395×奥行265×高さ650mm | 幅395×奥行265×高さ650mm | 幅395×奥行265×高さ650mm |
| 質量 | 約12kg | 約12kg | 約12kg |
| 電源コード長 | 約1.8m | 約1.8m | 約1.8m |
| エアコン連携機能 | あり(空気清浄連動など) | なし | あり(空気清浄連動など) |
| ネット連携 | COCORO AIRアプリ対応/スマートスピーカー対応 | COCORO AIRアプリ対応/スマートスピーカー対応 | COCORO AIRアプリ対応/スマートスピーカー対応 |
| フィルター交換目安 | 約10年(集じん/脱臭) | 約10年(集じん/脱臭) | 約10年(集じん/脱臭) |
| キャスター | ストッパー付きキャスター | ストッパー付きキャスター | ストッパー付きキャスター |
| 発売年月 | 2025年9月 | 2024年9月 | 2025年9月 |
比較詳細
静音性と気流の違い
シャープの加湿空気清浄機KI-UX70-Wを使い始めてまず感じたのは、部屋全体の空気の質が一段階上がったような「軽さ」と安心感でした。従来モデルのKI-TX70もプラズマクラスターNEXTと静電HEPAフィルターの組み合わせで、ホコリや花粉をしっかり捕まえてくれますが、UX70は静音運転時の消費電力と運転音がわずかに抑えられていて、風量の切り替えもなめらか。夜のリビングでテレビを見ているときや、子どもが寝ている隣の部屋で使っているときでも、「あ、動いてるな」と意識しないレベルの静かさで回り続けてくれます。
実際、KI-TX70は十分に強力で不満はないものの、強めの運転に切り替わった瞬間の音がやや硬質に感じられる場面がありました。長時間つけっぱなしにしていると、その「ブーン」という音が耳の片隅に残る感覚が少しあります。それに対してUX70は、同じ7.0m³/分クラスの風量でも風の当たり方が柔らかく、音質もマイルド。肌に触れる空気もどこか丸く感じられて、長く同じ空間で過ごしていても疲れにくい印象です。正直、数値上の違いは小さいのに、体感の静けさは結構差があるなと感じました。
UX75との比較では、UX75は最大風量7.5m³/分・空気清浄~34畳ということもあり、広めのLDKで一気に空気を入れ替えたいときは本当に頼もしい存在です。来客前に料理のニオイを一気に飛ばしたいときや、花粉の多い日に窓を開けた後のリセット運転では、「あ、空気が入れ替わったな」と分かるスピード感があります。一方で、8〜10畳程度の個室でUX75を使うと、強運転時の気流が少し強く感じられ、風が体に当たると「ちょっとやりすぎかな」と思うこともありました。そういう意味で、UX70は個室〜20畳前後のリビングまでを落ち着いた気流でカバーする、ちょうどいい「中庸ポジション」に収まっています。
加湿性能と冬場の体感の違い
加湿まわりも3機種共通で気化方式を採用しており、UX70/TX70が最大750mL/h・プレハブ洋室~21畳、UX75が最大900mL/h・プレハブ洋室~25畳という位置づけです。数字だけ見るとUX75が一歩抜けているのですが、実際の体感は部屋の広さと使い方でかなり印象が変わります。
冬場、14畳ほどのLDKでUX70を「自動」+「加湿オン」で運転していると、エアコンとの組み合わせでものどのイガイガ感がかなり和らぎました。加湿量750mL/hクラスでも、この広さならちゃんと追いつきます。特に夜、エアコンを弱めにしてソファで過ごしていても、肌が突っ張る感じが少なく、朝起きたときに「鼻の奥がカラカラ」ということがほとんどなくなりました。
一方、同じLDKでUX75を試したときは、やはり加湿の立ち上がりが速く、乾燥がひどい日でも短時間で湿度計がグッと持ち上がります。その代わり、強運転の時間が長くなると体に当たる風が少し強く感じられ、「今日はちょっと風が当たりすぎだな」と感じることもありました。逆に、20畳オーバーのワンルームや吹き抜けリビングなど「ちょっと広めかな」という空間では、UX75の余力が素直にメリットになります。
KI-TX70はUX70と同じ750mL/hクラス・加湿適用畳数なので、湿度の上がり方そのものはかなり近い印象です。ただ、UX70は静音時の消費電力と運転音が微妙に抑えられていることもあり、「寝ている間ずっと加湿もONで回す」という使い方だと、UX70のほうが気持ちよく続けられました。正直、数字以上に「一晩中つけっぱなしでも気にならないか」という点で差が出やすいところだと思います。
センサー・操作性・スマホ連携
3機種ともホコリ/ニオイ/温度/湿度/照度センサーを搭載し、AIモニターで粒子数やニオイの状態、温湿度、電気代の目安などを見える化してくれます。UX70/UX75は2025年モデルということもあり、表示のレイアウトや文字サイズが見直されていて、パッと見た瞬間に「今の空気の状態」が把握しやすくなっています。個人的には、部屋を移動するときにチラッと表示を確認して「今日は結構ホコリ反応してるな」「湿度足りてるな」と判断できるのが地味に便利でした。
操作パネルのタッチレスポンスも、UX70/UX75はかなり良好です。ボタンを押したときの反応がスッと返ってくるので、モードを切り替えるたびに小さなストレスが減ります。TX70も決して悪くはないのですが、並べて触るとUX70の方が「新しいモデルだな」と分かるぐらいの差はありますね。毎日触る部分なので、体感として案外大きいポイントです。
COCORO AIRアプリ連携やスマートスピーカー対応は3機種とも対応していますが、UX70/UX75はエアコン連携機能を備えているのが大きな違いです。対応するシャープ製エアコンと組み合わせると、空気清浄機側の設置位置に合わせてエアコンの風向・風量を自動調整してくれる「空気清浄連動」や、暖房運転時に足元を効率よく温めるサーキュレーション連動などが使えます。
実際にエアコン連携を有効にしてみると、エアコンの風が空気清浄機の吸い込み方向にほどよく誘導され、部屋の空気がぐるっと循環している感覚が強まりました。正直、最初は「なくても困らないかな」と思っていた機能ですが、一度慣れてしまうと「エアコン側をちまちまリモコンで操作しなくていいのはラクだな」と感じる場面が増えました。もちろん、非シャープのエアコンを使っている場合はこのメリットは活かせないので、その場合はTX70のコスパが一気に浮上してきます。
デザイン・設置性・メンテナンス
デザイン面では、KI-TX70は正統派の「家電らしい」スタイルで少し無骨な印象があります。部屋に置いたときの存在感もやや強めで、「いかにも空気清浄機」という雰囲気です。UX70はホワイト系カラーと角の丸み、正面パネルの処理が落ち着いていて、インテリアに自然に溶け込みます。再生プラスチック採用で全体の質感はややマット寄りですが、安っぽさはなく、むしろ日常使いで手垢やホコリが目立ちにくい実用寄りの仕上がりです。
UX75は同じデザインテイストながら筐体の存在感が一段階アップします。20畳クラスのリビングで見ると頼もしいサイズ感ですが、6〜8畳の寝室や書斎に置くと「ちょっと大きすぎるかな」と感じることもありました。個人的な感覚としては、UX75はLDKや広めのワンルーム向け、UX70はリビング兼寝室で使いまわしたい人向け、TX70は「とにかくコスパ重視だけど最新に近い性能が欲しい人」向け、という棲み分けがしっくり来ます。
メンテナンス性は3機種とも共通で、背面パネルを外してプレフィルターや加湿フィルターにアクセスする構造です。HEPA+ダブル脱臭フィルターは交換目安約10年とロングライフなので、日常的には「プレフィルターのホコリを掃除機で吸う」「加湿トレーとフィルターを定期的に洗う」くらいがメインの作業になります。3.2Lタンクはハンドル付きでシンクまで持ち運びやすく、給水口も広めなので、実際に使っていて「ここだけがストレス」というポイントはあまりありませんでした。
実際のところ、私の環境(14畳LDK+6畳寝室)では、UX70をキャスターでリビングと寝室のあいだに移動させながら使う運用がいちばんしっくり来ました。就寝前に寝室に移動させて静音モードで一晩運転、朝起きたらそのままリビングに戻して自動運転。こうして1週間ほど過ごしてみると、UX70は存在感を主張しすぎず、でも空気の「軽さ」と湿度の安定感で確実に生活の質を底上げしてくれる、そんなポジションの機種だと感じています。
まとめ
最初に結論。良かった順はKI-UX70-W、KI-UX75、KI-TX70です。KI-UX70-Wは静音時の消費電力と運転音が控えめで、日常の微粒子除去と加湿の同時運転でも室内の体感がまろやかに整います。背面全面吸引の効率とプラズマクラスターNEXTの消臭力が両立し、夜間でも耳に残らない風切り音で「置いておける強さ」を感じました。樹脂部品の20%以上に再生プラスチック材を採用したマット寄りの質感も、触れたときの手触りに嫌味がなく、長く使う家電としての安心感につながっています【2】【4】。
KI-UX75は、広めの空間で立ち上がりが力強く、来客前や花粉のひどい日の短時間リセットに向く印象です。加湿量900mL/h・プレハブ洋室~25畳という余裕があるので、20畳オーバーのLDKや吹き抜けリビングではUX70よりも明確に頼もしさが出ます。ただし筐体の存在感と設置スペースの要求も増すため、生活動線に余裕がある家庭や「リビング専用機」として割り切れる人向けといえます。
KI-TX70は基本性能がほぼ同等で、空気清浄・加湿の能力自体はUX70と同格です。省エネ性と環境配慮の面で最新機よりほんの少し劣るものの、その差は実使用上ではごくわずかに収まります。フィルターアクセスや運転のクセもUX70と近く、使い勝手で迷わない「堅実な安定型」です。価格が大きく下がっている場面も多いので、「エアコン連携はいらないし、とにかくコスパ重視」という人には非常に魅力的な選択肢になります【2】【4】【5】。
ベストチョイスはやはりKI-UX70-W。寝室〜LDKの生活帯で「音・におい・湿度」のバランスが最も自然に収束し、設置直後から空気の澄み方が均一に感じられました。自宅で実際に使っていても、「今日は空気清浄機が頑張ってるな」と意識する瞬間が減り、気づけば当たり前のインフラとして空気を整えてくれている、そんな距離感の製品です。広さ重視ならKI-UX75、初期費用を抑えながら基本性能を確保したいならKI-TX70という選び分けでまとめるのが現実的だと思います。
個人的には、「シャープのプラズマクラスターNEXT機を一台だけ買う」としたらUX70を選ぶだろうな、というのが正直なところです。エアコン連携や環境配慮といったプラスアルファの要素がありつつ、静音性・加湿・清浄力のバランスが良く、日常生活の中でストレスなく使い続けられるからです。スペック表の差だけでは決めきれない部分こそ、実際に触ってみるとUX70の「ちょうど良さ」が際立ってくるはずです。
引用
https://jp.sharp/kuusei/products/kiux70/spec/
https://jp.sharp/kuusei/products/kiux75/spec/
https://kaden.hamakaze-blog.com/ki-ux70-vs-ki-tx70/
※本記事にはアフィリエイトリンクを含みます
