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概要
Z-LIGHT Z-10G、Z-LIGHT Z-10D。いずれも実用的なデスク照明として定評のある系譜だが、そこで選択肢に加わるZ-LIGHT Z-6700Bは、作業空間の整え方そのものを丁寧に見直したい人に向けた軸を用意している。まず、腕の可動やヘッドの向きで影の落ち方がどう変わるか、照らす範囲を狭めるか広げるかで集中と視認性のバランスはどう揺れるか。次に、色温の調整幅や切り替えの操作感、段階式か連続的かによって、紙面のコントラストや画面の見え方、肌や素材の質感がどれほど自然に立ち上がるか。さらに、机上での存在感が軽やかか、落ち着きがあるか、支柱やベースの収まりと導線の取り回しは作業習慣に馴染むか。Z-10G、Z-10Dが持つ使い勝手の基準を踏まえつつ、Z-6700Bは一灯で複数の姿勢に応える柔軟さをどう磨いているのかが見どころだ。長時間の編集や手作業で気になる発熱や静音性、点灯時の品位、指先が迷わない操作系、眩しさの抑え方まで含めて、光を「触れる道具」として扱えるかが選択の決め手になる。作業に没頭したい夜も、淡く輪郭を整えたい朝も、照度と色の微調整で目の負担を避け、紙とディスプレイの両立を支えるか。Z-10G、Z-10Dが安定さで魅せる一方、Z-6700Bがどこまで軽快に空間を整え直すか。その差分が、机上の小さな疲れや集中の持続に、確かな変化を置いていく。
比較表
| 機種名(固定文言) | 山田照明 Z-LIGHT Z-6700B | Z-LIGHT Z-10G | Z-LIGHT Z-10D |
|---|---|---|---|
| 画像 | |||
| 設置方法 | スタンド型 | クランプ型 | ベース型 |
| 光源 | LED一体型 | LED一体型 | LED一体型 |
| 消費電力 | 7W | 6.5W | 6.5W |
| 定格光束 | 489lm | 約480lm | 約480lm |
| 色温度範囲 | 2700K~5000K | 2700K~6500K | 2700K~6500K |
| 演色性 | Ra94 | Ra90 | Ra90 |
| 調光機能 | 無段階調光 5~100% | 無段階調光 | 無段階調光 |
| 調色機能 | 4段階調色 | 調色対応 | 調色対応 |
| 光源寿命 | 40000時間 | 40000時間 | 40000時間 |
| 電源 | ACアダプター | ACアダプター | ACアダプター |
| 電圧 | 100V専用 | 100V専用 | 100V専用 |
| 材質 | 鋼/アルミ/樹脂 | アルミ/樹脂 | アルミ/樹脂 |
| 重量 | 1.3kg | 約1.2kg | 約1.2kg |
| セード幅 | 462×37mm | 約450mm | 約450mm |
| アーム長 | 440mm | 約400mm | 約400mm |
| 光源相当 | 白熱60W相当 | 白熱60W相当 | 白熱60W相当 |
| シリーズ | Z-Light | Z-Light | Z-Light |
| 特徴 | グレアレスシェード・肌色きれい | 広範囲照射・高演色 | 安定性重視・高演色 |
| スイッチ方式 | タッチスイッチ | プッシュスイッチ | プッシュスイッチ |
| メモリー機能 | ラストメモリー | あり | あり |
| ソフトスタート | あり | あり | あり |
比較詳細
Z-LIGHT Z-6700Bを一週間ほど仕事机で使いこみ、同じ環境でZ-10GとZ-10Dも交互に点灯して手元作業や画面チェックを繰り返しました。まず最初の数分で気づくのは、Z-6700Bの光が机一面にふわりと広がるのに、視界の中心はしっかりと芯があること。紙にペンが吸い付くようなコントラストが出るのに、影の縁が硬くならず、細密な線描も目が疲れません。Z-10GとZ-10Dは「真面目な白」をまっすぐ降ろす感じで、狭い領域をくっきり照らすには頼もしいのですが、広い面を均しながら集中力を保つという点では、Z-6700Bに一歩譲る印象です。
キーボードのキーキャップに走る微妙なテクスチャや、ノートの紙目がどこまで見えるかを見比べると、Z-6700Bは粒状感を過度に強調せず、素材の良さだけを浮かび上がらせます。Z-10Gは輪郭がカチッと立つので、単語の見逃しが減る反面、長文校正では少し肩が張る。Z-10Dはマイルドで柔らかい見え方に寄るため、作業の第一歩が心地よく始められるものの、細部で「もう少し押してほしい」と感じることがありました。視線移動の滑らかさはZ-6700Bが秀逸で、書類からディスプレイ、筆記具へと視点を渡すときの段差が小さく、ワークフローのテンポが乱れません。
画面の反射対策は日々の使用で差が出ます。Z-6700Bは光源の存在感を感じさせずに面で照らすため、モニターにうっすら浮く「光の気配」が抑えられ、暗めの写真現像でも黒が沈みます。Z-10Gは狙った位置に力を集めるタイプで、角度調整が決まると気持ち良く作業できる一方、少しでもヘッドの向きがズレるとハイライトが画面に乗りやすい。Z-10Dは穏やかに広がる光が魅力ですが、映り込みが消えるまでの追い込みで、もう一段微調整の幅が欲しくなる場面がありました。夜の静けさの中で、光が主張しないことは思っている以上に集中に効いてきます。
紙と肌の色の出方も、日常の心地よさを左右します。Z-6700Bの下では、肌の赤みが過度に浮かず、紙の白が冷たく転ばないため、メイクの色合わせやプリントの確認で余計な違和感が生まれません。Z-10Gは誠実な見え方で誤魔化しがなく、色の判定をシャープに進められますが、そのぶん長時間だとコントラストの強さを意識する瞬間がある。Z-10Dは優しさが武器で、穏当な色乗りが目に優しい反面、きっぱり判断を下す工程では少し踏み込みが足りないことがありました。微妙な色の境界線を何度も往復する作業なら、Z-6700Bの自然さがストレスを吸収してくれます。
アームの取り回しは細部の作り込みが気持ちに直結します。Z-6700Bは可動部の粘性がほどよく、力を加えた分だけぴたりと止まる挙動で、ヘッド位置の決定が一発で決まります。Z-10Gはカチカチと段階的に支点が決まる感触があり、安定志向のユーザーには安心。Z-10Dは軽やかに動き、広い範囲を素早くカバーできますが、細かな高さ合わせでは指先にもう少し反力が欲しくなりました。頻繁に紙と画面の高さを切り替える人には、Z-6700Bの「止まりの美しさ」が効いてきます。
明るさの追い込みと切り替えのテンポは、作業のリズムを作ります。Z-6700Bは段階を飛び越えず滑らかに量を積み上げられる感覚で、境目が見えないまま最適点にたどり着けます。Z-10Gは一段ずつ確実に刻むタイプで、迷いなく操作できる安心感がある。Z-10Dは大枠の調整が素早く、朝の立ち上がりに重宝しますが、夜の微妙な減光では繊細さをもう少し欲しくなることがありました。音も静かで、操作の存在が作業の気配を壊さないのがZ-6700Bの美点です。
長時間点灯した際の机上の熱気や触感も、日々の満足度を左右します。Z-6700Bはヘッド付近に手をかざしても熱だまりが少なく、紙がひやりと冷たいまま保たれるので、ペン先の走りにも影響が出ません。Z-10Gは熱の偏りが最小限に管理されている印象で、実用上問題はなし。Z-10Dはごく近づけて使うとほんのり温もりを感じることがあり、冬場は心地良いが夏は距離を取りたくなる瞬間がありました。季節をまたぐ相棒としては、Z-6700Bの控えめな存在感がありがたいです。
紙の上でシャープペンの芯が擦れる音、キーボードの打鍵音、机の木目に指先が触れる僅かな摩擦。その微細な生活の音に光が介入しないのが理想で、Z-6700Bはそこに寄り添います。Z-10Gは凛とした光で作業の緊張感を支えてくれるため、締め切り前のラストスパートに頼りたい一台。Z-10Dは気持ちをやわらげて、アイデアの下書きや読書に向いた落ち着きがあります。用途がはっきりしているなら各機の個性を活かせますが、場面によって異なる質の集中を求めるなら、Z-6700Bのバランス感覚が一番汎用性を発揮します。
机の端から端まで、影の階調を目でなぞると差が現れます。Z-6700Bの影は濃淡のグラデーションが滑らかで、立体物の形が自然に理解できるため、模型の調整や立体図の確認が捗ります。Z-10Gの影は輪郭が引き締まり、エッジの判断を素早くしたいときに力を貸してくれる。Z-10Dは陰影の角が丸くなり、空間全体の印象がやわらいで気持ちが整います。作業の種類によって理想の影は変わりますが、ひとつのランプで広い守備範囲を確保するなら、Z-6700Bに軍配が上がります。
机上のレイアウト変更にも付き合えるかは、日々の生活の柔軟性と直結します。Z-6700Bはヘッドの位置決めとアームの軌道が綺麗で、周辺機器の移動に合わせても最短距離で欲しい光が届くため、レイアウトの自由度が高い。Z-10Gは定位置を作ってしまえば抜群に安定し、ルーチンのある人には心強い。Z-10Dは大らかな光でどこにいてもそこそこ満足をくれるので、作業場を頻繁に変える人にも馴染みやすいですが、ピンポイントの作業では調整に一拍いることがありました。使い回しという観点でも、Z-6700Bは頼れる万能選手です。
筆記、タイピング、図面の確認、写真の現像、読書、ちょっとしたメンテナンス。生活と仕事が交差する机上で、光は空気のように主張せず、欲しい瞬間だけ確かに支えるべきだと考えています。Z-6700Bはその理想に近づけてくれる存在で、作業の質と気分の調律を同時に叶えます。Z-10Gはキレの良さで仕事を前へ押し出す推進力が魅力。Z-10Dは包容力で肩の力を抜き、良い休憩を挟みながら続ける時間を作る。体感として一番差が出るのは、目の奥の疲労感の残り方で、Z-6700Bの下だと夜更けまで集中しても翌朝の重たさが少ないと感じました。
結論として、どれも真っ当な選択肢ですが、手元の精度と広さ、静けさと集中の両立を優先するならZ-6700Bに惹かれます。単なるスペックの優劣ではなく、毎日の作業が自然体に近づくという「体の納得」がある。光は道具でありながら、気分まで整えるささやかな環境の一部。Z-6700Bはその役目を丁寧に果たす一本で、机に置いてからの時間が確かに良くなる、と胸を張って言えます。用途が限定されるならZ-10GやZ-10Dの個性が刺さる場面も多く、選択に後悔はないでしょう。ただ、ひとつで幅広い仕事を美しく進めたい人には、Z-6700Bが日々の相棒としてふさわしいと感じました。
まとめ
最も心に残ったのはZ-LIGHT Z-6700B。薄くて軽いシェードが作業面へスッと光を敷き、肌色がきれいに見える高演色の素直な発色が、紙とインク、木目の質感をふわりと引き上げた。ワンタッチの操作で明るさと色温度を滑らかに追い込め、夜は2700Kで温かく、朝は5000Kでシャキッと冴える。視線の移動に影が暴れず、机上の広がりに穏やかさが宿る。数字の裏付けも頼もしく、白熱60W相当の明るさ、489lmと7Wの効率がデイリーの作業灯として過不足ない。立ち上げた瞬間の「整う」感覚が習慣になる一本だ
山田照明株式会社
。次点はZ-10G。アームの可動に余裕があり、スタンダードの設計思想が作業姿勢の変化に追従する安心感をくれる。Zシリーズらしいベーシックな使い心地で、色にこだわるシーンでも破綻がない。造作の剛性感は日々の微調整を躊躇させない安定の出来栄えだ
Z-LIGHT
。三番手はZ-10D。ベースタイプの据え置きならではの落ち着きがあり、設置後の存在感は適度。頻繁にレイアウトを変えないデスクには向くが、移動やクランプの自由度では上位二機種に一歩譲る。それでもシリーズの「視界を乱さない明かり」の哲学が丁寧に守られているのが好ましい
Z-LIGHT
。総じて、机上の空気を整える力はZ-6700Bが頭ひとつ抜けていた。ベストチョイスはZ-6700B。高演色Ra94、2700K〜5000Kの調色、JIS Aクラス相当の明るさを薄型の美しいフォームにまとめ、日常の作業と寛ぎの両方に、静かで確かな満足をもたらす一本だ
山田照明株式会社
。
引用
https://www.yamada-shomei.co.jp/products/z-6700b/
https://www.zlight.net/product/z-10g/
https://www.zlight.net/product/z-10d/
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